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Nostalgia企画  黄鶴亭/灰唄

貴船さん@清峰
月並さん@甘露

シルエットだけ おぼろさん@甘露

お借りしました!







【異人館通り裏通り】


「粗方ここらへんの片付けはできたやろかね」
「………わたし、このまま、向こうの方まで…いってみますね…」
「あぁ、貴船はん、おおきになあ」
「…………もし、…体調、悪くなったらすぐ、くる、こと…」

ぽんっと手のひらに塗り薬を置くと彼女はそのまま走り去ってしまった。


「さて…ワシもあと少し頑張りまひょか」





【異人館通り前】



「…燃えて…」

見上げた異人館はごおごおといまも勢い良く燃焼を続けている。
ふと、知り合いの文豪のことを思い出す。
彼女は無事だろうか。
しかし自分もそろそろ旅館にもどらなくてはいけない。
同僚のありがたい引き止めを振り切ってでてきてしまったし、なにより自分が離れている間に大事な皆に何かあっては自分があそこに居る意味が無い。

「…戻ろう…」

はたと振り返った先に人影が一つ。包丁を持っている。

—残党だ

ぎくりと一瞬体がこわばってしまい、相手が振りかざした動作に反応できない。
まずい、切られる  

あれを使うしか





















「…おっと、その力…後々の仲間のためにとっときなさいな」

















ふわっと目の前にオレンジ色が横切り、
スパンっ!と本の背で包丁を受け止めた。



「黄鶴亭さん…!」

「めずらしなあ、くぅべはんが遅れとりはるなんて」




残党をそのまま引き倒すとそのまま鳩尾に一発食らわせいとも簡単に黙らせてしまった。
明陽軍参謀 黄鶴亭雛菊。
やはり参謀といえどただの遊郭清掃員である自分など足下にも及ばない。



「…ッ、俺」
「あーあーええよええよ。はよもどったり。たしか泡沫で何かしてはるんやろ?」
「…すみません」
「今度行ったとき美味しい酒でも貰えたらちゃらにしたるよ」


ぺこりと頭を下げて旅館の方へ向かおうとすると後ろから あ。 と呼び止められる。



「…本当に大切な時のために、その覚悟取って置きなさい、灰唄」

「…!」

「その力、使いたいときがくるよ」

「…っす。」






あらためて深く頭を下げると急いで燃えゆ道を走った。















旅館に戻るといの一番に同僚の元へ駆け寄った。


「…ホントにすんませんでした」
「言い分はわかったけどホント勝手に走っていなくなんなよな?大変だったんだぜ」
「…すんません」
「あーはいはいはいもうそれさっききいた!手伝え忙しいんだから!」
「ウッス」


遊郭のメンバーからはなんだなんだー?ケンカかー?などとちょっかいをかけられたりもした。
『 その力、使いたいときがくるよ 』
…そうだ。自分はこの皆を守りたい。今は自分も、皆も大事にして生きよう。
この手で、この体でたくさんの人を守りたいから。





それでええんよ、という声が風に紛れて聞こえたような気がした。




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